3話:ミアの秘密と追放

第3話

森の奥に、ぽっかりと口を開けた洞穴があった。
外から見えにくく、奥は意外と広い。
夜風も防げる。

「よし、ここなら少しは休めるな」

ミアは足を引きずりながらもついてくる。
さっきまで泣き腫らしていた少女とは思えないほど、表情に安心が戻っていた。

「おじさん……ここ、安全なの?」

「安全とは言い切れないけど、森の中じゃ上等だよ。
とりあえず火をつければ、魔獣は近づかない」

そう、異世界でもキャンプの基本は変わらない。


■ キャンプスキル、発動(生活の知恵)

洞穴の端から乾いた枝を集め、
小枝 → 中枝 → 太い枝の順番で組む。

そして──ポケットから火打ち石。

「えっ!?おじさん、道具持ってたの!?」

「転生ボーナスらしい」

(本当はポーチの中に“最低限のサバイバルセット”が入っていた。神の配慮だろう。
戦闘力ゼロのおっさんが即死しないように。)

火花が散り、小枝が“パチッ”と音を立てて燃え始めた。

洞窟の中に、温かな橙の色が広がる。

ミアの緊張が一気にゆるむ。


■ 足首を固定する

「ミア、足見せて。痛むだろ?」

「う、うん……」

俺は袖を裂き、布を帯状にする。

「おじさん……服、もったいないよ」

「大丈夫。どうせ冒険者っぽい服買わないといけないしな」

足首を触ると、ミアが小さく震えた。

「ごめん、痛むよな。でも大丈夫、折れてはいない。
軽い捻挫だ。固定すれば歩けるようになる」

布を巻き、添え木代わりの枝で軽く固定する。

ミアは驚いた顔で言った。

「おじさん……なんでこんなに優しいの……?」

「優しいんじゃなくて、こういうのが慣れてるだけさ。
人の怪我や困りごとを見ると、つい手が出るんだよ」

ミアはしばらく黙って俺の手元を見つめていた。


■ ミアの沈黙──そして、秘密

固定が終わると、
ミアは火を見つめたまま、小さく呟いた。

「……わたしね、追放されたの」

「うん、聞いたよ。
でも、追放される理由ってのは色々ある。
ミアは何を“しちゃった”んだ?」

ミアは首を振る。

「ちがうの。
わたし、何もしてないの。

俺はトライ・アナライズをそっと発動する。

少女の心の波形。
声の震え。
呼吸のリズム。
視線の揺らぎ。
体温の変化。

──嘘はついていない。むしろ“言えない何か”がある。

「ミア、その……言いたくないなら、無理に話さなくていいけど。
ここにいる間ぐらいは、安心していい」

すると、ミアは震える声で言った。


■ ミアの秘密①:魔族の血

「……わたし、魔族なの」

火の音が止まったように感じた。

「村の人、怖がるの。
普通の人より耳がよくて、力があって、
ときどき魔力が漏れるから……」

彼女の瞳が淡く光った。

「でも、わたし何もしてないの。
ただ……怖がられて、追い出されたの」


■ おっさん、即断

俺は肩をすくめて言った。

「……なるほど。
ミア、安心しろ」

ミア「……え?」

俺「俺の世界にも似たようなこと山ほどあった。
“違う”ってだけで排除される……まあよくある話だ」

ミアの目に涙が溜まり、こぼれ落ちる。

「わたし……ほんとに、悪いことしてないの……」

「知ってるよ。
トライ・アナライズで、ミアが嘘ついてないことは分かってる」

ミア「ほんと……?」

「ああ。俺は信じる」

ミアは、声を上げて泣いた。

泣き疲れ、俺の横で眠りにつくまで泣き続けた。


🔥 ■ そして、トライ・アナライズが告げる“伏線”

ミアが眠った後──
薄く光るスキルの残滓で、俺は“未来の可能性”を読み取った。

──ミアは、この世界の核心に触れる存在。

──少女の追放は偶然ではない。

──この世界の“構造の歪み”が、彼女を追い出した。

「……なるほど。
この異世界、やっぱり放置できねえな。」

炎を見つめながら、俺は静かに決意した。


第4話:「村が抱える“本当の闇”」

第2話:「魔獣との初遭遇」

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