洞穴で一晩を過ごし、朝日が昇るころ──
俺とミアは、森を抜けて“最初の村”へ向かった。
ミアの元いた村だ。
「ミア、本当に大丈夫か?」
少女は下を向いたまま、小さく頷いた。
「……うん。でも、ちょっと怖い」
「いいよ。怖いって言って。
怖がるのは悪いことじゃない」
ミアは少しだけ笑った。
泣きすぎて腫れた目が痛々しい。
■ 村が見えてきた
畑と木造の家。
数十人規模の小さな村。
遠くで子供の笑う声。
鶏の鳴き声。
平和そのものに見える光景。
……だが、ミアの肩が微かに震える。
「ミア、帰りたくなったら言えよ。
無理させるつもりはないから」
ミアは唇を噛みしめた。
「でも……どうしても伝えたいことがあるの。
村のみんな、わたしのこと……誤解してるの」
その言葉に、俺は胸が締め付けられた。
■ 村の視線
村に近づくと、農作業していた男達がこちらを見た。
「あれ……ミアじゃねえか?」
「なんだ、お前……戻ってきたのか?」
その声は“懐かしい”でも“心配”でもなく、
露骨な嫌悪と警戒。
ミアは肩を縮こまらせた。
そして──
俺に寄り添い、服の端を握る。
(……なんだこの空気は)
俺の中で、何かが静かに燃え始めた。
■ 村長登場
家の奥から、壮年の男が歩いてきた。
「ミア……なぜ戻った?
お前には村を去ってもらったはずだろう」
言い方は丁寧だ。
だが、その目には“人ではなく害獣を見るような”冷たさがあった。
ミアは震えた声で言った。
「わ、わたし……何もしてないの。
怖がらせるつもりも……傷つけるつもりも……」
「嘘をつくな!」
村長が怒鳴る。
ミアは驚いて一歩下がる。
その瞬間、俺の視界が立体化した。
■ 《トライ・アナライズ発動》
〈怒りの源:恐怖〉
〈恐怖の源:無知〉
〈無知の源:教会の教え〉
〈村長の心:罪悪感+保身+周囲の目〉
〈ミアへの印象:魔族=危険という思い込み〉
(……なるほど。
こいつら、ただ“知らないもの”を怖がってるだけだな)
■ おっさん、静かに踏み込む
俺は村長の前に立った。
「村長さん、ひとつ聞きたい。
ミアが“具体的に何をした”っていうんだ?」
村長は目をそらす。
「な、なにも……しては……いない。
だが!魔力が見えたんだ!
こんな田舎に魔族がいたら──
いつ暴走するかわからん!」
下を向くミアの背中が、小刻みに震える。
俺の中で何かが決定的に切れた。
■ おっさん、静かにキレる
「じゃあ聞くけど──」
俺は低い声で村長に詰め寄る。
「“いつか暴走するかもしれない人”は、
村から追放していいのか?」
村長「なっ……!」
「じゃあ怒りっぽい奴は?
怪我しやすいやつは?
力の強いやつは?
不器用なやつは?
弱い奴は?」
村長「それは……!」
「ミアは何もしていない。
ただ“違う”ってだけで怖がったんだろ?」
村にざわめきが広がる。
村人A「そ、そりゃ……まあ……」
村人B「……だって魔族だし……」
俺は一歩前に出た。
「俺はミアと一緒にいて分かったよ。
ミアは、誰より優しくて、誰より怖がりで、
誰より“傷つきやすい子”だ」
ミアがハッと俺を見る。
俺は続けた。
「そんな子を、
“理由もなく”追い出したのは──村の方だ」
村に重い沈黙が降りる。
■ 追放の“本当の理由の欠片”
そのとき、
村長の心の奥に“ノイズのような違和感”が見えた。
〈本当の理由:隠蔽〉
〈事件:村では語られない“ある出来事”〉
〈ミアの存在が脅威となる理由:別にある〉
(……まだ何か“ある”な)
トライ・アナライズが告げる。
ミアは追放された。
だがそれは“魔族だから”ではない。
もっと深い事情がある。
■ 本音を漏らす村長
村長は顔を青くして呟いた。
「すまん……ミア……
わしらは、お前を守るつもりで……」
ミア「え……?」
「……お前を村に置いておけば、
“あの組織”に目をつけられる……
それだけは、避けたくて……!」
「あの組織?」
村人たちが口々に囁く。
「あの人達に逆らったら村が……」
「巻き込まれるのだけは……」
「ミアちゃんを置いとくと……狙われる……」
(……組織?)
トライ・アナライズが微かに光り、
村長の心の奥から“名前”が浮かぶ。
■ 世界観の核心へつながる新ワード
〈教会騎士団〉
(……やっぱりこの世界、歪んでる。)
💧ミアの涙
「わたし……守られたの……?
追い出されたんじゃなくて……?」
村長は土下座した。
「すまん……すまん……
わしらは怖かった……だが、お前が悪いわけじゃない!」
ミアは泣き崩れる。
俺はそっと肩に手を置いて言った。
「ミア。
お前は、誰にも否定される存在じゃない」
そして話は「第2章:ギルドと世界の歪み」へと続く


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