村長が漏らした言葉──
『教会騎士団』。
それは、この世界全土に影響を持つ巨大組織。
宗教、軍事、行政、司法……
全てに影響力を持つ“裏の政府”。
ミアは涙の跡を残したまま、村長を見つめていた。
「村長さん……教会騎士団って、そんなに……怖いの?」
村長は肩を震わせるように息を吐いた。
「怖いなどという言葉では足りん……。
彼らは“聖なる正義”を掲げ、『魔族狩り』を続けておるのだ」
ミアの身体が反応的に縮こまる。
(……やっぱりか)
トライ・アナライズがミアの心を読み取る。
〈恐怖〉
〈過去の記憶の断片:追われた経験〉
〈魔力暴走の気配:微弱〉
〈自分の存在が迷惑になるという罪悪感〉
ミアの瞳が、震えている。
■ 村長の告白
「ミア。
お前が悪いわけではない。
ただ……この村は小さく、守る力がない。
もしお前が“魔族の血を引く”と知られたら……
この村ごと、焼かれてしまう」
「そ、そんな……」
「教会騎士団には逆らえん。
王都ですら従属せざるをえんほどの力を持っておる。
だから……
追放という形で、お前を“隠す”しかなかったのだ」
ミアの目から涙が落ちる。
「わたし……守られたの……?」
村人たちが小さく頷いた。
「ミア、ごめんな……」
「本当は……一緒にいたかった」
「教会が怖かったんじゃ……」
「お前は悪くない……!」
ミアは声を震わせながら言った。
「……わたし、ずっと……嫌われてると思ってた……」
俺はミアの頭に手を置いた。
「それは“誤解”だよ。
誤解は……立体的に見れば、解ける。」
ミアは嗚咽した。
■ トライ・アナライズ──深層へ
村人たちの感情の裏にある“もう一つの真実”が浮かび上がる。
〈教会騎士団の魔族狩り〉
〈対象:魔族の血を引く者〉
〈理由:表向きは「世界の平和のため」〉
〈裏の目的:魔力資源の収奪〉
〈ミアの魔力:希少・危険なくらい純度が高い〉
(……やっぱりミア、ただの魔族じゃないな)
スキルがさらに深掘りする。
〈ミアの魔力属性:癒し・共鳴〉
〈魔族にしては珍しい“慈愛系の魔力”〉
〈世界の構造に干渉可能〉
〈この世界の歪みを修正する鍵〉
(……なるほど。
神が「この子を救え」と言った意味はそこか)
ミア自身が、
この世界を変える“核”になる存在だった。
■ そして──影が動く
村長がふと空を見上げた。
「……まずい。
騎士団が動き始めておるかもしれん」
その瞬間だった。
ドォォォン!!!!
村の北側の森が、眩い光とともに爆ぜた。
ミアが叫ぶ。
「な、なんの音っ!?!?」
俺は瞬間的にスキルを発動。
《トライ・アナライズ》
視界に浮かぶ立体情報。
〈熱量:魔法〉
〈魔力反応:教会属性〉
〈人数:3〜5〉
〈目標:ミア〉
〈理由:魔力の解放痕跡を探知〉
(……昨夜の熊との遭遇か。
あの時ミアが怯えて魔力を漏らした……
それを探知された……!!)
「ミア、走れ!!」
ミアは俺の手を掴んで走り出す。
村人たちの悲鳴が上がる。
「教会騎士団だ!!」
「ミアを連れて行かれる!」
「村が燃えるぞ!!」
(……やっぱり来やがったな)
■ “信仰”という名の狂気
森の中から、黒い鎧に身を包んだ者たちが現れた。
胸には、“聖印”が煌めく。
その瞳は──
信仰に染まりきった、狂気の目だった。
「探したぞ、魔族の娘」
「この村に“異端の魔力”を確認した。
確保し、神殿へ移送する」
ミアが震える。
「いや……いや……!
わたし、連れていかれたら……!」
(ミアを渡したら終わりだ。
俺たちは、ここから逃げるしかない)
俺はミアの肩を抱き寄せ、言った。
「心配するな。絶対守る。
戦えない代わりに……逃げ道なら見つけられる」
ミアは涙目で頷く。


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