ミアの“魔力共鳴”によって、
暴走していた魔獣たちはすべて静まり、
森へと帰っていった。
町も、ギルドも、誰もが息を呑む中──
ただ一人、ミアだけが泣き笑いしていた。
「……助けられた……
みんな……助けられたんだ……」
俺はミアの頭を撫でながら言った。
「すごかったぞ、ミア。
お前じゃないと無理だった。」
ミアは少し誇らしげに微笑んだ。
だが──
その温かい空気は、
すぐに破られることになる。
■ 異様な“聖なる圧”が空気を震わせた
ぽおぉぉぉぉん……
澄んだようで不愉快な鈍い振動。
俺は眉をひそめ、瞬時にスキルを起動する。
《トライ・アナライズ》
〈接近:高速〉
〈人数:3〉
〈魔力属性:聖〉
〈目的:ミアの捕獲〉
〈敵意:高〉
〈交渉可能性:低〉
(……来たか)
ミアが不安そうに俺を見上げる。
「おじさん……胸が、また……痛い……
あの……嫌な感じがする……」
「大丈夫。
絶対にミアは渡さない。」
■ 三つの影が降り立つ
町の門の上空から、
黒と白の鎧をまとった三人が飛び降りた。
その胸には、
“教会の聖印” が光っている。
「異端の魔力を確認。
対象は先ほどの少女だ。」
ミアがビクッと震える。
ギルドマスターが一歩前へ出る。
「騎士団……!
ここはギルド管轄だ。
勝手な捕獲は許さん!!」
だが騎士団は、
石像のように冷たい声で告げた。
「神の教えに従わぬ者は、
すべて“異端”。
保護という名の管理が必要だ。」
(……この言い回し。
完全に“連れ去る気”だな)
冒険者の何人かが剣を抜く。
空気が一気に張り詰めた。
■ 騎士団の真意が暴かれる
俺は静かに口を開く。
「騎士団さんよ。
一つ聞きたい。
“魔獣暴走の原因”をお前らは知ってるか?」
三人のうち、中央の総隊長らしき男が
薄く鼻で笑った。
「無論。“魔族の気配”を探るため、
聖印魔法を用いた。」
(認めやがった……
つまり、魔獣たちを痛みで追い立てたと自白したわけだ)
俺は問い詰める。
「そのせいで魔獣が暴走し、
町が危険に晒されたんだぞ?」
騎士団長「魔獣など、神の敵にすぎん。
殲滅すればよい。」
ミアが震える。
「なんで……?
あの子たちは……ただ怖かっただけなのに……」
騎士団長は冷たく言い放つ。
「“価値のない命”だ。」
ギルド全体が殺気を帯びた。
ギルドマスター「この……クズが……!!」
俺はミアの肩を握りながら言った。
「騎士団さん。
ミアを連れて行く理由、
“魔族だから危険”じゃないよな?」
騎士団長「……何が言いたい?」
俺は静かに告げた。
「ミアの魔力は“慈愛と安定”。
世界の歪みを正す“鍵”だ。
お前らはそれを知っていて──
“封じ込めたい”んだろ?」
騎士団の後方二人が怯んだ。
図星だ。
■ スキルが“裏の意図”を可視化する
《トライ・アナライズ:深層読解》
〈騎士団目的:魔族の力の掌握〉
〈教会の密命:世界の魔力循環構造の掌握〉
〈ミアの力:教会の計画の障害〉
〈本来の危険:教会の魔力政治〉
〈真の異端:教会そのもの〉
(やっぱり……
この世界で一番ヤバいのは“教会側”か)
俺は空気を張り裂くように言った。
「ミアは渡さない。
この子を“異端”扱いするお前らこそ──
世界の異物だ。」
■ 騎士団、攻撃姿勢
騎士団長が剣を抜いた。
「異端に肩入れする者も異端だ。
貴様らごと粛清するとしよう。」
冒険者たちが一斉に構える。
ギルドマスター「上等だ!!
この街で好き勝手されてたまるか!!」
受付嬢ですら杖を構える。
ミアは俺の服を掴みながら、小さく呟いた。
「……おじさん……
こわい……
でも……逃げたくない……」
俺はミアの手を握り返した。
「大丈夫だ。
“戦わずに勝つ方法”はある。」
ミア「……信じる……」
■ そして、スキルが見せる“勝利への道”
《トライ・アナライズ:未来分岐》
〈正面衝突:敗北確定〉
〈逃走:高確率で追跡〉
〈突破口:騎士団の“聖印魔法”の過負荷〉
〈条件:ミアの共鳴魔力と合わせる〉
〈効果:一時的な眩暈・魔力錯誤〉
〈勝率:43%〉
(……低いが、やるしかない)
俺はミアの耳元で囁いた。
「ミア。
“助けたい”って気持ちを、もう一度広げてくれ。
今度は……“騎士団にも”だ。」
ミアは目を見開く。
「……えっ!?
あの人たちにも……?」
「そうだ。
戦いたくないのは、お前も同じだろ?」
ミアは震える声で、しかし力強く答えた。
「……うん。
それなら……わたし、やる。」
ミアの瞳が、
“優しさ”で輝いた。


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