騎士団長が聖剣をかざし、
眩しい光が刃先に宿った。
「異端者を確保――抵抗する者は排除する。」
町の空気がビリビリと震え、
冒険者たちは武器を構えるが──
誰も一歩も前に出ない。
その“圧”はあまりにも強烈だった。
ミアは俺の服の端をぎゅっと握りしめる。
「おじさん……
あの人たちの気持ち、怖すぎて……息が苦しい……」
俺はミアの頬に手を当て、真っ直ぐ目を見た。
「ミア。
お前が怖いのは、敵意を“そのまま”感じてるからだ。
だからこそ、お前なら“反対の感情”で上書きできる。」
ミア「反対……の感情……?」
「そう。
“優しさ”“穏やかさ”“落ち着き”。
あの魔獣たちにしたように。」
ミアは涙をこらえ、息を吸って──
小さく頷いた。
「……わたし、逃げたくない。
あの人たちを……傷つけたくも、ない。」
■ 騎士団長の号令
「聖印魔法──《聖なる審判(ホーリー・ジャッジメント)》」
白い光が渦を巻き、
空気が焼け付く音がした。
冒険者たちがザッと後ずさる。
受付嬢「こんなの……受けたら普通に死ぬわよ……!」
ギルドマスター「くっ……!」
騎士団の“聖光”は、
生き物の魔力を強引に押し潰す攻撃魔法。
ミアの“慈愛属性”とは真逆──
相性最悪のはずだった。
だが……
相性最悪ということは、干渉が最大にもなる。
俺は山のような緊張の中で、
冷静にスキルを発動した。
■ 《トライ・アナライズ:魔術干渉モード》発動
〈聖印魔法:直線的・強制的・支配属性〉
〈ミアの魔力:曲線的・調和的・解放属性〉
〈干渉法:ミアの感情エネルギーを“共鳴波”として放射〉
〈効果:聖印魔法の構造を“揺らす”〉
〈必要条件:ミアが心を落ち着かせる〉
〈補助:俺の“感情安定フィールド”(傾聴EX/調整力S)〉
(……なるほど。
ミアの魔力は“人の感情”に乗った時、最大になる。)
俺はミアの手を強く握る。
「ミア、思い出せ。
魔獣たちを助けた時の気持ちを。」
ミアの目から涙が一粒落ちた。
「……怖かった……
でも……助けたいって……それしか思えなかった……」
「それでいい。
ミアの魔力は“優しさの魔力”。
その心をそのまま——広げろ。」
■ ミアの“覚醒”が世界を包む
ミアの身体が淡いピンクの光に包まれた。
《慈愛魔力:共鳴解放(エモーション・リンク)》
風が柔らかく吹き、
町全体の空気を撫でる。
騎士団長「なに……?
魔力が……乱れる……?」
副官「聖印が……揺れている……!?」
ミアの魔力が、
聖印の“支配する光”に触れた瞬間──
バチィィン!!!!
まるで結界が“泣き叫ぶ”ように軋んだ。
騎士団長「ば、馬鹿な……
聖印魔法が……“拒絶”されている……!!?」
■ おっさん、戦わずに“圧勝”する
俺は冷静に言葉を紡いだ。
「騎士団長。
あなたの聖印は“支配の魔法”。
ミアの魔力は“調和の魔力”。
支配は調和に勝てない。
なぜなら──」
「調和は“相手ごと”包み込むからだ。」
ミアの共鳴がさらに広がる。
- 町の人々の恐怖
- 冒険者たちの緊張
- 騎士団の狂気の信仰
- そして俺の静かな怒り
すべてを優しく包み込み、
“鎮める波”として解放されていく。
騎士団長の剣が震え始めた。
「ま、魔力が……制御できん!!」
副官「だめだ隊長!!
この子……“世界の流れ”を操っている!!」
三人の足が、地面に“めり込む”ほど重くなる。
これは、
ミアが“力で押している”のではない。
“戦う理由”を根元から消しているのだ。
■ 騎士団、撤退
騎士団長は苦悶しながら言った。
「くっ……
くそ……が……
こんな……少女ごときに……!」
ミア「ごめん……
でも……誰も傷ついてほしくないから……」
騎士団長は数歩よろけて後退し──
耐えきれず、仲間に腕を掴まれた。
副官「隊長、撤退を!!
これ以上は精神と魔力が崩壊します!!」
「……ぐっ……
覚えていろ……異端者ども……!」
三人は聖光をまとって飛び上がり、
空へと逃げていった。
どこか悔しそうに。
どこか怯えたように。
■ 戦いのあと
ミアはその場に膝をついた。
「はぁ……はぁ……
おじさん……わたし……
やれた……の……?」
俺はミアを抱き寄せた。
「やれたよ。
誰も死なせず、
誰も傷つけず、
“勝った”。
それは……お前にしかできない勝ち方だ。」
ミアは泣きながら笑った。
「……よかった……
わたし……誰も……嫌いになりたくなかった……」
ギルド全体が静まり返り──
次の瞬間、大歓声が上がった。
「すげぇぞ、あの子!!」
「分析士と魔族の子が……騎士団を追い返した……!」
「誰も死ななかったんだぞ!!!」
「こんなの、初めてだ……!」
ギルドマスターは震えた声で言った。
「お前たちは……
世界を変えるぞ……」
物語は、第3章:「仲間と旅立ちの始まり」へここからがこの物語の本編の始まりだ!


コメント