5話:教会騎士団の影

第5話

村長が漏らした言葉──
『教会騎士団』

それは、この世界全土に影響を持つ巨大組織。
宗教、軍事、行政、司法……
全てに影響力を持つ“裏の政府”。

ミアは涙の跡を残したまま、村長を見つめていた。

「村長さん……教会騎士団って、そんなに……怖いの?」

村長は肩を震わせるように息を吐いた。

「怖いなどという言葉では足りん……。
彼らは“聖なる正義”を掲げ、『魔族狩り』を続けておるのだ」

ミアの身体が反応的に縮こまる。

(……やっぱりか)

トライ・アナライズがミアの心を読み取る。

〈恐怖〉
〈過去の記憶の断片:追われた経験〉
〈魔力暴走の気配:微弱〉
〈自分の存在が迷惑になるという罪悪感〉

ミアの瞳が、震えている。


■ 村長の告白

「ミア。
お前が悪いわけではない。
ただ……この村は小さく、守る力がない。

もしお前が“魔族の血を引く”と知られたら……
この村ごと、焼かれてしまう」

「そ、そんな……」

「教会騎士団には逆らえん。
王都ですら従属せざるをえんほどの力を持っておる。

だから……
追放という形で、お前を“隠す”しかなかったのだ」

ミアの目から涙が落ちる。

「わたし……守られたの……?」

村人たちが小さく頷いた。

「ミア、ごめんな……」
「本当は……一緒にいたかった」
「教会が怖かったんじゃ……」
「お前は悪くない……!」

ミアは声を震わせながら言った。

「……わたし、ずっと……嫌われてると思ってた……」

俺はミアの頭に手を置いた。

「それは“誤解”だよ。
誤解は……立体的に見れば、解ける。」

ミアは嗚咽した。


■ トライ・アナライズ──深層へ

村人たちの感情の裏にある“もう一つの真実”が浮かび上がる。

〈教会騎士団の魔族狩り〉
〈対象:魔族の血を引く者〉
〈理由:表向きは「世界の平和のため」〉
〈裏の目的:魔力資源の収奪〉
〈ミアの魔力:希少・危険なくらい純度が高い〉

(……やっぱりミア、ただの魔族じゃないな)

スキルがさらに深掘りする。

〈ミアの魔力属性:癒し・共鳴〉
〈魔族にしては珍しい“慈愛系の魔力”〉
〈世界の構造に干渉可能〉
〈この世界の歪みを修正する鍵〉

(……なるほど。
神が「この子を救え」と言った意味はそこか)

ミア自身が、
この世界を変える“核”になる存在だった。


■ そして──影が動く

村長がふと空を見上げた。

「……まずい。
騎士団が動き始めておるかもしれん」

その瞬間だった。

ドォォォン!!!!

村の北側の森が、眩い光とともに爆ぜた。

ミアが叫ぶ。

「な、なんの音っ!?!?」

俺は瞬間的にスキルを発動。

《トライ・アナライズ》

視界に浮かぶ立体情報。

〈熱量:魔法〉
〈魔力反応:教会属性〉
〈人数:3〜5〉
〈目標:ミア〉
〈理由:魔力の解放痕跡を探知〉

(……昨夜の熊との遭遇か。
あの時ミアが怯えて魔力を漏らした……
それを探知された……!!)

「ミア、走れ!!」

ミアは俺の手を掴んで走り出す。

村人たちの悲鳴が上がる。

「教会騎士団だ!!」
「ミアを連れて行かれる!」
「村が燃えるぞ!!」

(……やっぱり来やがったな)


■ “信仰”という名の狂気

森の中から、黒い鎧に身を包んだ者たちが現れた。
胸には、“聖印”が煌めく。

その瞳は──
信仰に染まりきった、狂気の目だった。

「探したぞ、魔族の娘」

「この村に“異端の魔力”を確認した。
確保し、神殿へ移送する」

ミアが震える。

「いや……いや……!
わたし、連れていかれたら……!」

(ミアを渡したら終わりだ。
俺たちは、ここから逃げるしかない)

俺はミアの肩を抱き寄せ、言った。

「心配するな。絶対守る。
戦えない代わりに……逃げ道なら見つけられる」

ミアは涙目で頷く。


第6話:「戦えないおっさん、ギルド登録」

第4話:「村が抱える“本当の闇”」

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